滅びのとき

エーレンオルトの見取り図

赤城毅渾身の一作『ノルマルク戦記』を読破。
無理して6・7巻を一気に出す必要性は無かったように思えるけど。
つーか6巻は、完全なる掃討作戦であってユリアス軍が負ける可能性は1カケラも無い。
必ず勝つ戦ほど面白くないものはないな。負け戦に挑むから面白いのであって…

ノルマルクシリーズを読み終えて思う事はただ1点。
死のバランスが悪すぎる。
6巻では、狂軍師の秘密が判った途端フェードアウトするし
7巻では、これが最後の戦だ!と言わんばかりに、次々と自滅していった。
この6巻と7巻の死に様が逆だったら、凄い面白い小説になっていたと思う。
主要メンバーが死んだ満身創痍のユリアス軍に狂軍師が力を貸して、最後の大博打を打つ!
てな展開ならば、6巻を読んだ時点での倦怠感は起こらなかったはず。
早々とパッシェンダールを殺したんだから、他のメンバーも気軽に討ち死にするとか
最後まで死に切れずに、悔しい思いを噛み締めながら生きながらえるとかして欲しかったな。
特に、ギルゼンシュターン兄弟の犬死っぷりなんてガックシ。
殺すのなら、何故ギルゼンシュターンが

トイトニアの東にはてしなく広がる「草の海」の向こうにあるという、
騎馬の民の国から伝えられたとされるものだ。

この短長の弓を扱っていたかの説明をして欲しかったな。
実は、騎遊民から教わったとか、出身が騎遊民だったとか、驚愕の真実を。
そんな盛り上がる話も無く、両方とも自滅の海へ突っ込んでいった。
タクティクス オウガに出てくるランスロット・ハミルトンみたいな無惨な生き様を見たかった。
そんな愚痴がこぼれる様な点も、いくつかありましたが
7巻には、素晴しき革命がありました!
それは、今まで無かった戦場見取り図が付け加われた点ですよ。
これまで、想像力が足りなくてユリアスの見事な奇襲作戦の全容を把握する事が出来ませんでしたが
このような簡潔な作戦指令図が表記されたならば、万人にも分りやすい作戦になってますよ。
キャラクターの表情よりも、作戦指令図を見た方が心がウキウキしてしまいます。
このページは男の子向けかな?
女の子は、華麗な戦いの表情の方が見たいのかも。
はたしてこのページの評価はどうなるのだろうか。
この地図に人気が出て、これからの小説にも作戦指令図が加わってくれると良いな。
次に戦記物が出る確率は微妙ですが…


さて、赤城毅の本来の読み物と言うべきのあとがきが7巻に載っていました!
ですが、普通のあとがき過ぎて面白くなかった…
何故あとがきフィクションを封印するのか?
硬い硬い本文の後に、脳天砕けまくりのあとがきを読むのが楽しいのに。
暑い暑いサウナの後の、身も凍るような冷水に飛び込むあの快感に近かった。
今では、蒸し暑い文章をすっきり醒ましてくれる様な何かが欲しかったなあ。
あとがきフィクションを再び執筆して貰う為には、赤城毅本の不買運動でも起こすしかないのかな?
魔大陸の鷹シリーズは、本文自体が面白いので買い続けますが
他のシリーズは、控えたいとココに決心しよう!