組長先生 納谷六朗

テツ譲りの関西訛り

原恵一監督の新作『カラフル』を鑑賞。
すっかり原映画は一般人にも認知されたのか、来ている客層の幅が広くて驚きましたよ。
アニメ映画にはオタクしか見に来ないという時代はすでに終わったのかも。
今回は劇場でサイン入りポスターを発見できなかったのが寂しい…
予告編さえチェックせずに、何の知識もなく見に行きましたが良く出来た内容で楽しめましたよ。
前半は、自殺した中学生の体に、主人公である「ボク」の魂が転生するという設定で始まるので
いきなり見知らぬ家族の一員となり、右往左往するボクが観客の目線で描かれていて、すーっと映画の世界に潜り込めます。
ただ、主人公の体は自殺した中学生のモノなので、自殺するだけあって家庭内の調和はバラバラ。
学校でも浮いた存在であり、日常の描写が陰鬱でちっとも面白くない…
壊れた日常が、さらに悪化していき、再び自殺しちゃうんじゃないかとドン底まで落ちるまでは
面白い場面が全くといって良いほどありません。
そこを覚悟して見ていると、中盤から電車オタクが登場してそこから一気に日常が明るくなり楽しい映画へと変貌します。
終盤まで、そんな楽しい雰囲気で進みラストの驚愕の展開にしてやられましたよ!
ラストを見終わった後から考えると、前半の鬱陶しさは必要な鬱陶しさである事に気付かされます。
原作を読んだ事ないですが、きっと原作通りの空気感を再現した映画なんでしょうね〜
映画が終わってからパンフレットを買いましたが、これは映画が終わってから読んだ方が良いネタバレ満載のパンフだったw
パンフによると、電車オタクの話は映画オリジナルのエピソードみたい。
路面電車の線路跡を歩くと言うだけで、オタクとか下町好きな人間は一気に映画に引き込まれてしまいましたw
こういう所が、オトナ帝国を生み出した原監督の由縁なんだろうな〜
オトナ帝国といえば、今回のカラフルにもクレしんメンバーが4人ほど参加しています。
近所の子供2人と主人公の担任の先生の声をやっているのが、クレしんメンバーとはスタッフロールが出るまで気が付かなかった…
そんな中、一言発しただけで己の存在感を輝かせる人物が登場!
何の当たり障りもない朝礼の場面で、いたって真面目に語っているその声を聞いただけでクレしんファンは大爆笑ですよ。
でも、劇場内でその朝礼シーンを喜んでいる観客は居なかったので必死に笑いを堪えました。
スタッフロールで「校長先生 納谷六朗」の名前を見た時にも同じ様に笑いが込み上げてきました。
やはり、あの朝礼シーンは校長先生の挨拶だったんだw
もう一つ原監督ネタを取り上げるなら、美術部にやってくる女の子が持ってくる駄菓子にうまい棒が有った事です。
河童のクゥと夏休みでも、うまい棒とのコラボ企画をやっていたからな
映画館でも10円で発売していました
その時のご縁で、またうまい棒を映画の中に登場させたんだろうなw
最後に、原監督の渾身のギャグといえば、ラストのお鍋シーンにありました。
泣きじゃくる主人公と母親に対して、そっとティシューを差し出す兄貴。
主人公と母親が、ありがたく受け取り涙を拭いました。
その時に事件が起こりました。
父親ももらい泣きをして、ウルっときたのかティシューを1枚取ろうとしたら
そんな父親に気付かず、ティシューを元の位置に戻してしまい、ちょっと途方にくれる父親の表情が最高でしたw
普通のドラマならば、そういうシーンを陰でこそっとやったりはしますが
アニメでそれをやろうとすると、余分な作画が増えてしまいますからね。
それでも、あえてこのシーンを入れ込んだという事は、原監督の中にまだコメディー魂が潜んでいる現われなんだろうな。
痛快コメディーを1本撮ってくれとは言いませんが、これからも色んな映画を撮っていくにあたって
ちょっとずつで良いから、クレしんファンを喜ばせてクスっと笑わせるシーンを入れて続けて下さい!
今回、一番クレしんっぽかった演出としては、映画の前半で主人公が初登校するシーンで
相棒である魂観察員のプラプラが逆上して顔を真っ赤にして怒る姿は、しんのすけが頬を膨らませて口を尖がらかす姿とそっくり!
あの真っ赤な表情を見るだけで、しんちゃんをイメージ出来ましたよ。
そう考えると、脇役にクレしんメンバーが回る戦国大合戦を想定して人員配置した映画なのかもw
その他のクレしんパロディとかに気が付いた方がいらっしゃったらコメントをお願いします。
まだまだ見逃しているネタも多そう。
あともう1回くらいは劇場で見たい映画ですよ〜