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カラー伝説はここから始まった!

先日、ブログにこんなコメントを頂きました

光さん
はじめまして。チャンピオン感想を、いつも楽しみにしています。
ブラックジャックは、今回の企画のためにプロダクションがフルカラーにしたみたいですよ。
当時は新連載なのに、カラーじゃなくて白黒でひっそりはじまった…とか
どこかで読んだ記憶があります。

この書き込みが気になって、本棚の奥からブラックジャックの文庫本を引っ張りだして読み直してみました。

Black Jack―The best 12stories by Osamu Tezuka (1) (秋田文庫)

Black Jack―The best 12stories by Osamu Tezuka (1) (秋田文庫)

ブラックジャックはまぞうで検索してみたら、他にもいっぱい出てきた!
これらの単行本は、色々と収録作品に違いがあるのかな?
ブラック・ジャック(1) (手塚治虫漫画全集)

ブラック・ジャック(1) (手塚治虫漫画全集)

ブラック・ジャック (1)

ブラック・ジャック (1)

ブラック・ジャック 1 (少年チャンピオン・コミックス)

ブラック・ジャック 1 (少年チャンピオン・コミックス)

ブラック・ジャック (1) (少年チャンピオン・コミックス)

ブラック・ジャック (1) (少年チャンピオン・コミックス)

文庫版は、ベスト作品から順に掲載していると週チャンの記事に描いてあったけど
最初に発売された単行本版は、連載してきた順に掲載しているのかな?
家にある文庫版だと巻頭の5ページはカラーで収録されています。
単行本版は全部白黒印刷なんだろうな…多分
おっと、話はそれましたがこれから本題に入ります。
文庫本の1巻には、今回のチャンピオンでフルカラー掲載された作品が一番最初に収録されています。
扉絵であるトランプ柄は無くその代わりに白紙のページに

医者はどこだ!
Where's The Doctor?!

と明記されていて、カラー原稿が5ページ続いていました。
問題は次のページからですよ。
このフルカラーで描かれているはずの第一話ですが、文庫版では6ページ目からは白黒印刷されています。
ただ、カラー原稿を無理やり白黒印刷する普段通りやり方ではなくて
明らかに白黒に書き直されているヤツを収録しているんですよ!
百聞は一見にしかず、今週のフルカラー原稿と単行本収録の白黒原稿を見比べてください。

カラー原稿から、色情報だけを抜き出して印刷しているのかと最初思ったのですが
3コマ目のブラックジャックの周りに描かれている茶色いオーラは、かけあみ処理に変更されているので
新たに描きおろしたんでしょうね。
その他の部分は一緒なので、原稿を重ねてトレースしたのかな?
上の画像では詳しくは見れないだろうけど、良く見るとホワイト処理をしたであろう箇所も
白黒原稿でも見事に再現されているみたいでびっくりしています。
これらの事を考えると、原稿は白黒とカラーの2種類あったのかも知れません。
あるいは、単行本が発売される時に再び書き直したのかも。
本当の所はどうなんだろうか…
ブラックジャックが初掲載された週のチャンピオンを持っている方からの情報をお待ちします。
手塚治虫記念館に行けば、その週のチャンピオンが飾られたりしてるのかな?
だったら一度は足を運んで、色んな展示物を見て回りたいなあ
それから文庫本1巻のラストに収録されている「二つの愛」という漫画も全編カラー作品です。
ですが、こちらは特に書き直しされておらずカラー原稿をそのまま白黒印刷しています

原稿は23ページですが、本来なら扉絵1ページもカラーで発表されていたんだろうな。
今のデジタルカラーと違って、白黒に落としてもさほど違和感のない仕上がりになってます。
でも、コマによっては背景をかけあみ処理している所もあるので
手塚さんが見栄えが悪いと思った箇所は、手直ししているみたい。

この同じページでの修正箇所のバラ付きを見ると、下でコメントをくれた木川さんの言うとおりに
一度原稿を切り離して、再構築した結果が1冊の単行本にまとまっているんでしょう。
こんなのを調べだしたら個人の力で検証するのは不可能に近いかも…
手塚記念館の人は資料の展示が目的だろうから、そこまで調べたり当時のスタッフに聞き込みをしたりはしないだろうな…
チャンピオンの企画みたいなのがないと、そうそうは資料の貸し出しとかは無理っぽいか。


それから、今回ブラックジャックの文庫本を読み直して気が付いた事が2つ。
まず一つは、連載していたのが30年前という事なのでト−ンを貼っているのが殆ど無い。
ブラックジャック肖像画を描く時は、左目の周りは肌の色が違うのでトーンを貼りたい所ですが
1巻を読む限りトーンを貼っている箇所は無かったです。
顔がツートンカラーになっている部分は、カラー原稿を白黒に落とした際に薄墨効果でトーンを貼った様に見えるだけでした
今の作家にブラックジャックを描かせたら、殆どがトーンを貼っちゃうだろうな。
そこが、ブラックジャックが乗る車のタイヤは白色という手塚の掟に繋がるキーポイントなのかも。
もう一つの手塚的手法といえば、カラー原稿での背景処理の仕方です。
実際の風景を描くのではなくてキャラクターの心情を表すオーラみたいので塗りつぶすやり方。
こういうカラー絵は少年漫画では殆ど見掛けなくなったなあ
少女漫画ではまだ続いている手法なのかな?
持っている漫画で似たような処理をしているのは、ガンダムの安彦さんくらい

手塚さんみたいな遊びは入っていないので、全体的にはワンパターンしかないですけどね…
昔気質の人のカラーは、こんな感じなのが多かったのだろうか?
これも味わいがあるので、極めていったらもっと面白い演出が可能な背景処理だと思うんだけど
編集者側からすれば、古臭い演出であって雑誌に載る事無くボツにされちゃうのかも。
新人漫画家さんで、手塚塗りを極めて世に打って出ようと思う人は居ませんか?