見上げた武士道が詰まった一冊

中身が漏れそうに御座る

今さらながら『シグルイ12巻』を購入。定価580円(税込)原作・南條範夫 漫画・山口貴由
がま剣法以降のだらけた展開に飽きてしまい、単行本を買うのを躊躇してたんですが
この前の朗読CDが素晴らしかったので、買い逃していた12巻を手に入れました。

シグルイ 12 (チャンピオンREDコミックス)

シグルイ 12 (チャンピオンREDコミックス)

雑誌で読んでいた時は、一向に進まない展開と先延ばしの為の原作キャラの逐次投入にうんざりでしたが
こうやって改めて1冊の本にして読んでみると、なかなかまとまりのある内容になってて驚いた。
冒頭にある、伊良子の何気ない一言が人間関係を全て破壊していくのは凄いなw

それにしても不運は三重どのよ
いくさえいなければ己を婿に迎え入れ
三百石を手離すこともなかったろう

思わず呟いてしまった本音が、この12巻での「いく」の暴走に繋がるんでしょうね。
このまま伊良子と添い遂げようとした「いく」が、自ら離れていき
それが、虎眼流との縁をさらに根深い物にしてしまうとは…
うかつな事を言ってなければすんなりと事は進みそうだけれど
そこをブチ壊して読者をハラハラさせるのが、若先生は楽しいんだろうな。
毎回盛り上げるだけ盛り上げて、先の事はあまり考えない様にしているみたいだしw
それぞれのキャラクターの闇の部分を鋭くえぐってくれる巻に仕上がっていたなあ
伊良子の株が上がってきたなと思ったら、過去話でドス黒さを演出するとはなかなか。
この巻で一番嬉しかったのは、この過去話ですよ!
すっかり忘れていましたが、その昔に百問百答で伊良子が苗字を獲得した由来を聞いたのですが
ついに明らかになる日が来ましたか!
これは質問したから、生まれた話なのかな?それとも連載当初から暖めていた話なんだろうか。
まぁ初回の道場破りの時点で、骨子術の事は出ていたから、ある程度の段取りは決めてそう。
でも、そこに峻安なる兄弟子を登場させたのは、話がここまで大河ドラマ的に広がってきたからに違いない。
伊良子の鬼を葬る為にやってきた峻安だけど
そこにはすでに伊良子の鬼に囚われてしまった、地獄帰りの男・藤木が産み落とされていた事は想像できなかったか…
今巻の鬼話を読むと、仕置きの時に生まれ出でた怪物が、この藤木だったのかなあ
そう、正直怪物です。
まぁ怪物よりも怖いのは、この12巻をたった3P登場しただけで自分の本としてしまった
魔人・イワモトコガンの存在感の一言に尽きまする。