本能を赴くまま生きる世界

真意の判明は次巻で

若先生の新刊『シグルイ』10巻を購入。580円(税込)
長く続いた、虎眼流VS伊良子の仇討ち試合編がようやく決着しました。
連載中は、圧倒的な戦力の差をどうやって伊良子が埋めるのか心配でした…
全巻通じて、一番痛くそして惨い仕上がりになってますよ。

シグルイ 10 (チャンピオンREDコミックス)

シグルイ 10 (チャンピオンREDコミックス)

まず最初に度肝を抜かれるのは、第四十八景「無無明」のサイレント漫画
一切、台詞も効果音も描かない音の無い世界を構築しつつも
それは、盲目となって光の見えない伊良子が陥った、漆黒の世界を描く為の演出としたのは見事。
見えないからと言って、黒く塗りつぶすのではなくて
周りが見えない覆いかぶされる恐怖を、音の聞こえない無機質な世界に置き換える事によって
伊良子が開眼していく様子にするのは見事だな。
目が見えなくなったけど、まだ目に頼ろうとする伊良子が、目隠しで厠で用を足したのは
自分が大便を捻り出す姿を、完璧に脳裏で想像する事に専念する表れではないだろうか?
どの様の大きさの便を、いかにして排泄しているかさえ感じられる様になりさえすれば
可視光線に頼って生活している者よりも、多くの物を視えていると言っても良いだろう。
雑誌では、最後のページには編集者からのアオリコメントが書添えられていたけど
当然の如く単行本では、それは削除されたのが、ちょっぴり残念かな…


漫画の方は、この後に仇討ち場での決戦→検校屋敷での幽鬼戦と2試合連続で同一カードが見れる訳ですが
一試合目の捨て試合が、二試合目の伏線となっていて素晴らしく盛り上がりますね。
ウッシーの実力&筋力があれば、普通に流れ星を構えさえすれば
伊良子を音速の速さで切り裂いていたと思うけどなあ
下手に知恵を回しすぎたのかも知れません。
後半戦は、知恵を使わな過ぎての敗北かも知れませんがw
第五十一景「一ツ目」で、孕石家老が問うた

人を斬ったことは?

の台詞の真相は、次巻に明らかになります。
岩本虎眼が産み出した狂気、次々に伝播して武家社会を取り込んでいく様が素晴らしいな。
まだ、血染めの白無垢は岩本邸で飾られているに違いない。