オールヘンタイ

タイトルは「黒社会」で!

シネカノン神戸の会員証更新ついでに、ジョニー・トー監督の最新作『エレクション』を鑑賞。
J・トーの新作だという噂のみで観に行ったので、どんな内容かは知らずに鑑賞し
あまりにも物静かな始まりに戸惑いましたが、内容が黒社会の派閥争いだと判った時からは
ガンガンのめり込みました!跡目を巡る静かな攻防には痺れた。
映画については、ヤクザ映画好きが見ればハマる実録抗争ドキュメンタリーみたいな作り。
出演者の血の通った演技は、生の香港人を見てるようです。(香港俳優を知らない所為もあるけど)俳優に見えない
そんな黒社会の面々が、金や玉(命)をぶつけ合っての権力闘争は実に見応えがある。
仁義無き戦いと評したい所だが、中国の黒社会は仁義を重んじるみたいで、仁義篤い戦いになってます。
冒頭の漢字で書かれたマンダラみたいなのは、黒社会の結成の儀式みたいなもの。
兄弟仁義の杯を交わす感じで、祭壇に関羽を祭り黄色い御札と太い線香で祈りを捧げながら
一家の団結を誓い合う場面だった事が、映画の最後にもう一度再現されます。
そこでは、合唱する言葉が「兄弟」
それを空耳的発想で聞くと「オールヘンタイ!」と、良い大人が揃って言っている様に聞こえるw
本当の所は「オー!フェンダイ」かな?香港語では「兄弟」をなんと言うのだろうか。
真面目なヤクザ映画になっているけれども、所々でギャグっぽいシチュエーションが紛れ込んでいるが、ジョニートーの最大の魅力かも。
一番大好きなシーンは携帯電話ですw
それからブレイキングニュースの時もそうだったけど。ジョニートー映画には食事シーンがふんだんに描かれている。
とは言っても、豪華な満漢全席を食べるのではなく、警察官は出前の弁当を口いっぱい頬張るし
黒社会の方は密輸の合間に、路上で手羽先をしゃぶりつき、自宅ではカセットコンロと土鍋で一家団欒。
こういう日常の食生活が、実に美味しそうに描かれているので、観客も思わずお腹が鳴ってしまいます。
食べた事の無い、ツバメの巣や熊の手が出てきても興味は示しませんが
食卓に肉まんや餃子が並んでいれば、思わず食べたくなります。
こういう些細な演出が観客のハートをキャッチするんですよ!
それから関西人にオススメなのがラストシーン。
山奥のダムで釣りをしているんですが、その周囲に猿がいっぱい居るんですよ。
その瞬間に気分は、箕面の猿山に飛んで行き、エレクションに凄い親近感が沸きますw
日本映画でも、箕面で撮影すれば良いのに!
釣りをしている横に猿が出てくるのは可愛い〜
尻尾が短くて顔が赤いので、本当に箕面の猿と同じですよ。
画面にいっぱい猿が登場しますが、物語には一切関係ありません。
何故サルなのか?それが判るのは監督だけだ!
そしてエンディグには、もの凄い綺麗な歌声が響き渡り、今まで見てきたのがヤクザ映画だったことを忘れてしまいそうに。
実に素晴しい映画だったけれども、レイトショーで2週間のみの公開だからヒットは難しいかな…
この映画のタイトルは「エレクション」(意味は「選挙」)ではなくて、中国語の「黒社会」にすれば良かったのに。
黒社会」なら、マフィア映画好きとか香港映画好きは、観に来ると思うけど
「エレクション」ってタイトルでは、オシャレな映画っぽくてスルーしてしまう可能性大。
さほど宣伝している様に見えないので、そういう時はタイトルで勝負して欲しいものです。
思い切って「香港血風録・黒社会跡目争い」でも良いよ。
絶対名前で損している映画だ。
続編の「エレクション2」は日本公開されるのだろうか?
その時は是非「続・黒社会」とタイトルを付けて貰いたい!