缶切りパパが踊るとき 夜は赤く染まる…

缶切りパパは内臓が大好き

櫓の声波打って
腸凍る夜や涙
        芭蕉

神のはらわた (ハヤカワ・ミステリ文庫)

神のはらわた (ハヤカワ・ミステリ文庫)

今回の見所。

わぉ!ペニスだ!
「ちゃいようを浴びちゃいけないと言われてるんでしゅ」
突然、彼の右手に”友だちボボ”が姿を現した<頭は坂道になった路地に転がった>
「市民とは絶滅の危機にある種族ですよ」「最近の選挙の棄権率からして」
彼らはハリウッド映画の超大作を見てきたのだ。超巨大なタコの話だ。
トニーはTV受信料についての質問表をチェック中だった。

こんなに、ストーリーと関係ない面白ネタがたんまり詰まった猟奇殺人サスペンスです。
ブリジット・オベールは、殺人犯や警察などには興味を示さずに
ただひたすらに、自分の好きな事を小説にガンガン組み込んで行く作家なのではないだろうか?
内蔵の山盛りに糞尿を振り撒いて、ゴキブリも少々。
あとは自閉症自傷癖のある男の壮大なる計画を思いっきり悪趣味に書いていく。
その時々に、上記の見所の笑いネタをふんだんに盛り付ければ
神のはらわたの一丁上がり!
はなっからマトモな小説を書くつもりのない、非常なクレーバーな小説家らしい
変態の宝石箱のような小説でしたよ。面白さ120%
ぜひとも、この小説を若先生*1にコミック化してもらいたな。
缶切りパパは、ちゅぱ衛門で。真面目なコステッロは牛股かな。
狂気とモツが溢れるカンヌを舞台に、変態たちの宴を若先生の筆で再現して欲しい。
この最悪で読み応えの無い結末さえが最高ですよ。
実際の事件は、こんな終わり方をする場合が多いんだろうな。
デッドマン・ウォーキング [DVD]って映画でも
「死刑になるのは重罪を犯したからではない、金が無くて弁護士を雇えないからだ」
そんな言葉が甦ってくるような地味であっけない終わり方でした。
この<死に至るリヴィエラ>シリーズは面白いな。次の本が楽しみ!
ただ、ブリジット・オベールの本は一年に一冊しか出ないので
次の紹介は、来年までおあずけです…
もうちょっと小まめに出版して欲しいな〜