おっサン欠乏症

このおっサンを活躍させれば…

そろそろ飽きてきたけれども『田中哲弥』の感想を書いてしまわない事には
次の本を気楽に読み始める出来ないではないか。それは困った。
7年ぶりの新刊に対してどの様な感想を書けば宜しいのでしょうか?
辛辣な事を書いて7年断筆されても困るし、褒めそたえて短編集ばかり出されてもなあ

ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)

ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)

いよいよ、この日がやってきた。別に誰も望んでないけど。
5つの短編を読んで判った事がいくつか。
まずは、電撃hpに掲載された前半3つは全部一度読んだ記憶があった。
手元にはVol30しかなかったが、どこぞの本棚の奥をかき回せば
1・2話を掲載した雑誌が出てくるやも知れぬ。
またその雑誌にネタとなりうるべきページでもあれば
早めに転載して、資源ごみの日に捨ててしまおう。
雑誌はぶ厚い割りに、田中哲弥の部分しか読んでないからなあ。
非常にコストパフォーマンスが悪い雑誌だが、田中哲弥のみを好む読者は全体の数%だから問題はあるまい。
むしろ雑誌を買って持っている人間はエリートと分類されてもおかしくないはず。
と胸を張ろうかと思ったけど第4話目が掲載されたSFマガジンはその存在も知らなかったから
勿論の事立ち読みすらしていません。たまには作者のHPをチェックしなきゃダメですね。
もうすっかり執筆活動から足を洗ったのかと思ってましたから…


そんな事よりも、ミッションスクールの内容ですよ。感想ですよ。ご飯ですよ。桃屋ですよ。
この短編集を通して読んで感じた物足りなさは、おっサンが不足している
大久保町から面々と続いてきた、主人公に付きまとう田舎のおっサンの事です。
おってですか〜(居てますか?)
と玄関のドアノブをガチャガチャ回す、田舎のおっサンのノリが圧倒的に不足している。
若干その雰囲気を醸し出しているのは体育教師田川とサンダーバード板倉ぐらいかな。
田中哲弥はおっサンを書かしたらピカイチの腕前なのに、今回の小説は学園が舞台と言うことで
おっサンの出し渋りをしていると見受けられるが如何かな?
大久保町では、必要の無いキャラだと思われつつも、意外な場面で役立ったおっサン達。
ところが今回の田川や板倉に至っては、役にすら立っていない。
でも、小説を読み終えた後に印象に残っているのは田川と板倉しかいないなあ。
主人公の名前すら覚えてないのに…
田中哲弥スターシステムもとい吉本新喜劇スタイルを導入しているので
主人公の名前は変わっても、筋肉バカ寺尾。詩人の河合。近所のおっサンこと、があさんやドブさん。
バカな行動を繰り返しつつも、最後に何か仕出かしてくれると言う期待がこれまでの作品にあったけど
今回のミッションスクールでは、結局おっサンは活躍せぬまま終わってしまったな。

どれもこれも高校生が活躍する愉快で楽しいお話なのに。

それゆえに、おっサンを登場させる事をためらってのでしょうね。
是非、次回の時代劇でないのであれば、おっサンが脇を固める新喜劇スタイルでの小説に期待しています。


ところで、ネットでの大森望の書評を読んで心躍らせる項目を発見。

いまのところ田中哲弥の訳書はこれ一冊だけなのだが、どうせならニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)をこの翻訳で読みたいと思った人は多い。

このニューロマンサーは読んだ事が無いですが、サイバーパンクの代名詞みたいな作品みたいですね。
勤勉なSFファンは必ず読んでいると思いますので、怠惰なSFファン向けに超訳ニューロマンサーを翻訳して下さい。
幸い版権はハヤカワ書房が持っているみたいなので、こっそり翻訳する分には大丈夫でしょう。
要は、チバシティーに手術を受けに行く話じゃないんですか?
つまり、大久保町の国連病院にやって来る外国人にしてしまえば良いじゃないですか。
うんきっと良いアイデアだ。そこでしっちゃかめっちゃして、地元のおっサンに

それだけは間違いない

と言われて一件落着。そんな翻訳が読みたいと思う読者は大森望とココに一名。計2名は購入確定。
なにとぞ検討をお願いします。