くだらねぇ…たかが映画じゃねえかッ!

七味入れと割り箸(共に400円)

噂の実験実写映画・立喰師列伝を観に行った感想をば。
そもそも「立喰師」とは何なのかを知らず
立ち喰い屋台を回る人かと思ってましたが
実は、立喰師とは、食い逃げをする人だったんですね。
その事に気付いたのは、ケツネコロッケのお銀ぐらいでした。
最初の月見の銀二の頃は、何をやっているのかさっぱりな映画です。
ナレーションの山寺さんの滑舌は良く、スラスラと難しい横文字を
立て板に水の如く喋りたてるのは良いのですが
肝心の言葉の意味は、右から左へと抜けていって一向に理解できませんでした。
何故、あの蕎麦屋は涙を流していたのか意味も判らぬまま
第一章が終わってしまい

この映画は、はたしてどの方向に突き進んでいくのだろうか?

と、観客を不安のどん底に落としたまま、映画は続いて行きます。
ですが、ケツネコロッケのお銀の話は十分に噛み砕かれた
判りやすい文体でのナレーションであり、その食い逃げテクニックも
単純明快な技であり、ここから観客の動揺が収まり
映画の内容にグイグイ引きこまれていきます。
第三章の哭きの犬丸では、話のストレートさと時代背景などが
噛み合って来て、ここからが本当の立喰師列伝のフェイクドキュメンタリーの始まり
と言っても過言ではない、面白さと真剣味が合わさった映画になります。
また、スーパーライブアニメーションと銘打った手法も
ここで色々な仕掛けを見せて、動きのある映画となってきて
ストーリーだけではなく、目で見て楽しい動きが満載で飽きません。
第四章の冷しタヌキの政では、前二つが陽気な短編だったので
ここでは、やや陰気でダーティな日本偽史の世界を構築。
そんな薄暗いムードの中、扇国土交通大臣似の監察医が登場して、ちょっとニッコリ。
この無表情の顔が何とも言えぬ笑いがこみ上げてきます。
話がシリアスな分、ちょっとしたマヌケさが笑いの源となる!
緊張と緩和の理論を実践している一コマとも言えるだろう。
第五章からは、話が一気に近代化して今の時代と密接な状況下での
立ち喰い師の活躍を描く話となります。
この牛丼の牛五郎では、予知野屋という牛丼屋が
ライブドアに似た会社名の買収屋から、攻撃を仕掛けられるという
今の御時世に通じる株社会の底辺を描くスリリングな話に。
ライブドアに似た名前の会社なんだけど、どんな名前だったのか思い出せません…
少し前に読んだ絶望先生で、ライフポアなる絶妙の名前に感銘を覚えてしまったので
せっかくの名前を忘れてしまうという失態を演じてしまった…
どなたか予知野屋に買収をしかけた企業の名前を教えて下さい*1
続く第六章も牛丼と同じく、ハンバーガーショップを舞台にした立喰師襲撃の話。
ただ、この話に関しては牛丼が吉野家ではなく予知野屋であったのに
ハンバーガーショップの名前は、ロッテリアと実名で登場!
そのロッテリアの男気に惚れました。
監督曰く

営業妨害される話なのに、よくロッテリアさんの許可が下りたもんだ。

と、実名の許可を貰っていながらも不思議に思っていました。
でもそんなロッテリアさんの心意気は大好きです。
今年は、ロッテリアハンバーガーしか食べない事をココに誓います。
内容の方は、非常に軍隊チックな話でマニア的に最高の出来栄え
淡々と語られるナレーションで田口トモロヲ風に

システム崩壊の予兆

とのセリフが非常にお気に入り。どこかで使って行きたい一言です。
第七章はフランクフルトの辰。これも冷しタヌキの政と同じく
やや暗めのトーンで全編統一された話。
しかし、最初の方に登場する辰の彼女がカバンにポスターをビームサーベル刺しをし
わざわざ、背景にガンダム型の影を写す凝り様。
その彼女が怒った時には、ビコーン!とガンダム特有の効果音と共に
影の方の目もピカッと光る演出。
歩く時の効果音もジャコン!ジャコン!とガンダム音を再現していて笑いました。
でも、人間の動作にガンダム音を当てはめるというのは
チョイと前に放送された「燃えよ!カバディ」で実戦済みだたからなぁ
また、有名企業の名前にピーッを入れる自主規制の技も下妻物語が先取り。
この章での笑いに関しては、取り立てて目新しいモノは無くてガッカリ…
そして最終章・中辛のサブでは、今までのギャグとは一線を画する
まさに押井守でしかありえないような映像の数々で笑わせてくれました。
あの都市伝説の類は、誰でも映像化したいとは思うけれども
なかなか踏み出せないのが実情。
それを軽々しく飛び越えて、一気にそして軽やかに見せてしまう押井守の力量はアッパレ!
このラストシーンを見るだけでも、この映画の価値はある。
それにしても中辛のサブのあの瞳の美しさは、全店舗営業停止処分を喰らった
貸し金業者のCMに勝てるぐらいの純情無垢さはあった。
このニュースが立喰師列伝に追い風になるとは思えないが
偶然の一致に、心を熱くしながらもサブの瞳に虜になりました。


映画館を後にする前に、いつもの様にパンフレットを購入しようと
売店に立ち寄ったついでに、前々から目にしていた
七味唐辛子入れと割り箸10本セットを一緒に購入(共に400円)
パンフは前頁カラーで豪華で見ていて楽しいです(1000円)
七味入れは、ブリキ缶に穴が開いた単純な作りですが単純ゆえに長持ちしそう。
中にフリカケでも入れて、お弁当に添えれば色んな所で重宝しそうな一品です。
割り箸に関しては、買ってから気が付きましたが
基本的に使い捨てなんで、使い所に悩みますね…
どういった場面で、この割り箸を差し出せば話が盛り上がるのか?
もう花見の時期も過ぎたので、なかなか割り箸をみんなに配るなんて事が無い。
何かナイスな利用法を只今検討中であります。
また売店には、お猪口が2個セットで900円で販売していたので
次に劇場に行く時に購入したいと思います。
あと、湯飲みも欲しかったけど売店に置いてなかった気がする…
今度はたっぷりお金を持っていて、全部買い占めよう。
そう、牛丼の牛五郎の様に。
その時売店には、システム崩壊の予兆が見れるはず…

*1:ネットで載ってた情報だとライブモアらしいが…