甘美なノスタルジー

あおげば尊しパンフ600円

原作小説の大ファンだったので、映画『あおげば尊し』を観に行って来ました。
本を読んで内容を知っているにも拘らず。
色んな所で涙を堪えきらずに泣きましたよ…
原作本を読んだ時の感想は→『コチラ
ブログでは、まゆみのマーチの事しか書いてなかったな。
そのあらすじを読んだだけでも目頭が熱くなってきた…

卒業

卒業

この本は、読む度に涙が抑えきれなくなるので只今封印しております。
そんな大好きな小説の1編が映画化されました。それが『あおげば尊し
内容をかいつまんで説明すると、3人の主人公が居ます。

己の新年を貫いた末期ガンの老教師の父。
その父を家で在宅介護をする事に決めた中年教師。
その教え子で死の感覚が理解できずに放浪する少年。

この映画の基本的スタンスは、正解の無い問題に直面した時に
どの様に経過を示すかを表現した映画ではないかと。

常に自分の答えはベストだと信じて生きてきた老教師。
自分の教育論を模索してベターな答えだと信じて前に進む中年教師。
人生の指針が判らずに、とりあえず行動だけ起こしてみる少年。

この三者が三様の考えで、それぞれの中で死と言うモノを見詰める映画。
あまりに見事にストーリーが締め括りされてしまうので
観客の中には「所詮映画は作り物だ。映画と現実は違う!」
と、反対意見も出てくるでしょうが、それはこの映画にハマった証拠。
その昔映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 [DVD]でも、似た様な論争が起こりました。
それを見事に総括した意見が載っているのが

クレヨンしんちゃん映画大全―野原しんのすけザ・ムービー全仕事

クレヨンしんちゃん映画大全―野原しんのすけザ・ムービー全仕事

唐沢俊一:「オトナ帝国の逆襲」が語りやすくて難しいのは
映画を語ったつもりが、いつのまにか自分語りなっちゃうってことですね。
「いや、おれにとってはね」って…オイ、これはあなたのためだけに作られた映画じゃないだろうと(笑)

あおげば尊しの映画論が難しいのは、まさにそこです。

歌としての「あおげば尊し」を、卒業式に歌った高齢の世代。
あおげば尊し」を聞いた事はあるけど、卒業式で歌わなかった中年世代。
あおげば尊し」を全く知らない、平成生まれの少年少女。

これらの3世代の意見は全然違うのに、この映画では見事融合しています。
その結末を自分の人生に、より良く活かして行こう!
と劇場を出る時に思う事が出来れば、幸せな一日が送れるかも。
死について、何か1つの考えをお持ちの方は無理して観る必要はありません。
心を涙で洗い流したいと思いの方は、どうぞ劇場まで足をお運び下さい。