自由道は燃えているか!?「第7話」

半熟英雄のソフトは緑色

「エッーーーグ・チョーーーーーップ!」


第七話
王子は玉子を呼ぶ
S・L・G
SimuLation Game
シミュレーションゲームは、大まかに別けると2つあると思う。
一つは、「信長の野望」や「大戦略」の様な戦争物。
そしてもう一方は、「シムシティ−」や「タワー」の様に
何かを育てて、立派にさせるゲーム。
その2つに共通して言える事は、どちらもパラメーターが
非常に重要で大切であると言える。
その、細々としたチャックを行いながら
目的を達成する喜びは大きいが、子供の頃は
そんな数字の羅列を見た所で、たいした面白さを実感できなかった。
ゲーム中も、要所要所で適切な指示を出す事に
この手のタイプのゲームには醍醐味があるので
常に何かに、夢中になりたい子供時代には、暇な時間が多く
あまり食い付きの良いゲームではなかった。


だが、「半熟英雄」(はんじゅくヒーロー)は
そんな手間の掛かる「数字」や戦闘時の「暇な時間」を解消した
画期的なゲームだった。
「数字」の方は「強さ」の値と、毎月入ってくる「お金」ぐらいしかなく
戦闘シーンも、「リアルタイム」と言うより「トントン相撲」みたいに
ぶつかり合うキャラクターを、ボタンを連打してパワーを溜めて
戦闘を補助するするシステムなので「強さ」で負けていても
気合の16連打で逆転!って事もありえるので
ただ、それだけでも十分に楽しめるゲームになっていた。
それに加えて戦闘シーンでは、玉子から呼ばれて出現するエッグモンスター
ゲームの面白さを倍増させてくれます。
強いエッグモンスターで敵を蹴散らすよりも、弱いがクセのある
面白いエッグモンスターが玉子から飛び出てきた時の方が
逆に可笑しくて、より一層ゲームに集中できます。
それの最たる例が、カッコよさNO1の
エッグマン」です。


今では、シリアスで重厚な物語で定評のあるスクエアですが
ちょっと前までは、コメディーでポップなキャラのゲームでは
抜群の魅力を発揮しています。
半熟英雄」でも、ファミコン版は見た目の印象とは違い
後半は結構骨太な戦略が要求される上質のSLGに仕上っています。
スーパーファミコン版になると、ストーリーが重視されますが
FC版以上に、バカさ加減がUPされていて
主人公の情けなさが、笑いを呼び、そして涙を誘ってみたり
ユーザーからエッグモンスターを公募してみたり
普通にサウンドテストをすれば良いのに、たまにイベントが起きて
作曲家の「すぎやまこういち」が、主人公の城まで勝手に訪れて
演奏会と称したサウンドテストでやってみたり
エッグマン」に主役級の役どころを与えてみるも、
相変わらずの弱さのままで、カッコよさをばいぞうしてみたり
と、遊べる所では全て遊び尽くした感じがある一級作品です。


SLGと聞くと、素人には面倒臭い作業がずっと続くゲームと
思われがちで、それだけで降参している人も多いのではないでしょうか。
最近では簡単なシステムで、壮大な涙を誘うストーリに素敵なキャラクターを
取り揃えて、プレイヤーの興味を起こすゲームも発売されていますが
ゲームシステムそのものが楽しいモノは、なかなか見つかりません。
半熟英雄・SFC版は、ゲーム本編でボタン連打をして汗をかき
その合間で、学芸会の的お笑い満載のショーを鑑賞して
次のステージでの連打魂を充電する場所になります。
完熟のハードなゲームを求める人が多いですけど、たまには
半熟のへなちょこコメディーでゆっくりと、真夏の夜を楽しむのも
イイモノかも知れない。


以上『日刊ゲームスクウェア』 2001/07/28号より
前回までの『自由道は燃えているか!?』はコチラで読めます。


半熟英雄』も一時期はお蔵入りしていましたが
最近になって、再び熱が盛り上がってきて、開発に余念が無いようです。
はたしてどんな、バカらしいゲームと仕上がっているのかが楽しみですが
あいにくPS2を持っていないので、まだ新作は遊んだ事がありません。
これから先も、本体を買って遊ぼう!て気が怒らない限り無理でしょう…
なんせ筋金入りのメガドライバーですから、アンソニーが遊んだゲーム機は使いません!