オレたちの復興はこれからだ!

書き下ろしナイト・サヴァイブ

奇しくも、震災の日に併せるかのように発売された一冊の本がある。
藤澤勇希・メトロサヴァイブ第2巻(完)
連載終了は随分と前だったけれども、この1月19日まで発売されなかったのは
きっとこの日を狙って売り出そうと最初から決めていたんだろうな。

メトロ・サヴァイブ 2 (プレイコミックス)

メトロ・サヴァイブ 2 (プレイコミックス)

結局、連載誌で読んだのは2回だけだった…
ちょっと間を置いて、プレイコミックを立ち読みしてみたら
藤澤勇希の名前が無かったので、中途半端に打ち切られたのかと思ってましたが
ちゃんと完結していたので安心しましたよ。
1巻がビルメンテ技を駆使しながらの、脱出の為のサヴァイブだったのに対して
2巻は地震でヒビが入ったら人の心の隙間から生まれ出す悪意からのサヴァイブで
この辺りをキチンと書けていて、非常に楽しめる漫画に仕上がっていた。
ただ単に悪党が暴れる漫画ではなくて、悪党も悪党なりに用意周到な脱出プランを練っている点が
この先どうなるのか?と興味津々で読める作品となっていますよ。
暴れては自滅する悪党の多い中、全ての屍を乗り越えて生き抜く知恵を持った悪役は魅力的。
それに対する力も武器も無い、地下鉄に乗り合わせただけの不協和音コンビ10名は
はたして無事に地上へと帰還する事が出来るのであろうか?


地震で恐いのは、崩れかかる建物でも、燃え迫る炎でもありません。
本当に恐いのは、ひび割れた心から湧き出す悪意。
ガレキとなった町を四駆で走り回る人(下には生存者の可能性も…)
また、廃屋に連れ込んでの強盗やレイプなどもあったが、震災の混乱でうやむやに。
メトロサヴァイブは起こり得る未来の一場面かも知れない。