清く正しい変態

素敵な序文も付いてます

買いっ放しで読んでなかった本を、秋の読書週間ということでコツコツ読破。
発売と同時に買いましたが、去年からずっと枕元に放置中でした…
新刊が出たとの情報を目にし、慌てて読みふけりました。
やっぱりブリジット・オベールは面白いや。

死の仕立屋

死の仕立屋

久し振りに、ゾクゾクする様な変態小説にめぐり合えましたよ。
エンタテインメントとして、変態の活き活きとした姿を描かせたらフランス一の作家でしょう。
内容は、死体を数体切り刻んでは縫い合わせるという
タイトル通りの「死の仕立屋」を警察が捜査するサスペンス。
と、サスペンスと言っても犯人は冒頭から判明済み。
マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM)と同じ手法を使い、犯人目線で物語が進むのと
警察目線(マルセル・ブラン巡査)で進むのとが、同時に進みます。
むしろ、犯人が死体をせっせと生産し、それを警察が追いかける
死体を通じた交換日記状態。このアイデアは素敵だなあ
警察の内部のゴタゴタと、マルセル巡査の私生活の問題でグタグタになっている捜査状況が笑いを誘う。
そして圧巻は、犯人の嬉々とした変態プレーと
刻々と悪化する状況においてもメゲズに犯行を繰り返すたくましい精神力ですよ!
こんなに楽しそうに変質者を描けるなんて、オベールの才能には感服します。
ゴキブリに糞尿、さらには女装のニューハーフなど、オベール的アイテムてんこ盛りの充実した変態ぶり。
変態愛好者で、まだブリジットオベールを読んだ事の無い方は
今すぐ本屋のハヤカワ文庫の棚へ急げ!