ヴァンダミングアクション

ヴァンダムミングマフィア

CINEMAしんげき』を視察。の続報
長らく放置してきたけど、いずれは書かねばならぬ一作。
ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の『レクイエム
これが驚くほどの面白さ。熱い男魂を感じ取りました!
今までの『スーパーヴァンダミングアクション』とは一線を画する映画!
今回で、初めてヴァンダムの映画を劇場で観る事になるなぁ
と思ったけど、よく考えてみたら
昔、フェスティバルゲート内の映画館に
ヴァン・ダム イン コヨーテ

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を観に行った事を思い出した。昔からヴァンダムが好きだったのかも。
否!黒澤明の用心棒のリメイクとして観に行ったのだ。
ヴァンダムは、割と目鼻が効くので、こういった作品にいち早く主演するけど
盛り上がらぬまま忘れ去られていくな…
コヨーテの時もそうだったけど、ヴァンダムの魅力は勧善懲悪のヒーローではなくて
少し影のある悪党(悪役に非ず)が良く似合います。三船敏郎チックな眼光の鋭さ。
その渋さ溢れるヴァンダミングな一面が、今回のレクイエムに詰まっています。
以下ネタばれの方向で、じっくり語りたいと思います。


まずは、映画の冒頭でいきなりカーチェイスが始まる。
観客は何が何だか判らないまま、そのアクションの凄さに引き込まれます。
そして一体に何が起こっているのか?と思い悩む頃に、タイトルクレジットが。
クレジット中、女性のヌードが登場して、観客の目線を画面から逃しません。
ここで最初の事件、ヌードの女性が殺される。
それきっかけに殺人を目撃した女の子が追われる事になる。
と、ようやくストーリーの要が見えてきて、観客もほっと一息。


場面変わって、赤シャツを着込んで小粋なヴァンダムが登場。
いつもなら、警官やら軍人役で主演を張るけど、今回のヴァンダムはチンピラ役。
酒場での揉め事を腕っ節で解決するマフィアの用心棒。
そんなヴァンダムさんが

もう、暴力には疲れた。引退するよ…

と言って、これからは家族や子供の為に家庭を守りたいと
マフィアの親分と話し合います。親分もしぶしぶ納得。


港に停泊中の船に移民局の人間が強襲をかける。密入国者の一斉取締り。
乗組員が銃を発砲してくるがSWATの射撃で殲滅。
船底に閉じ込められている、密入国者を解放&逮捕。
密入国者の中に、先ほどの少女が紛れ込んでいて
その怯えっぷりに移民局の女性局員であるヴァンダムの嫁が哀れんで
移民局の牢屋に入れるよりも、自分の家に泊めてあげたいと上司に懇願。
一晩だけの許可を貰い、ヴァンダムの家に招き入れる。
自宅に帰ると、ヴァンダムが待っていて事情を説明。
少女を何とかアメリカへ亡命出来ないかを相談する。
そしてヴァンダムのシャワーシーン&熱いベットシーンが。


ここまで前半30分で、大方のストーリーの布陣が完成。
しかしながら、冒頭のカーチェイスが何故に起こったのかの種明かしは、まだ…
ただカーチェイスで、助け出す女の子は殺人を目撃した少女。
その少女を守るのがヴァンダム。少女を追いかけるのは、中国マフィア。
つまるところ、ヴァンダムVS中国マフィア
の展開が、前半で判る見事な構成になっていて好印象。
しかし、この映画が今までのヴァンダム映画と違う所は、ここから先です。


ジャンダム嫁が、自分の育ての親である中国人老夫婦の元へ
少女を連れて、これから先の事を相談しに行きます。
時を同じくして、中国マフィアの親分がアメリカに到着。
少女を捕獲すべく、街中の手下共を動員して
ヴァンダム嫁&中国人老夫婦の場所へ襲撃をかけます。
嫁&老夫婦死亡。銃声を聞いた、少女とヴァンダム息子は
慌てて家を飛び出して逃亡の一手。
そんな事を知らずに、のん気にヴァンダムが車で登場。
老夫婦の家の前に、銃を持った男が居たので、ためらわずに轢き殺す。
車から飛び降りて周りに居た中国マフィアをガンガン射殺。
この時のヴァンダムの銃捌きが格好良い!
マフィアを全滅させてから、家の中に入って嫁の死亡を確認。
大泣きするヴァンダム。
そして、パトカーが到着して、ヴァンダムは警察へ


取調べでヴァンダムの自己防衛が認められるも、銃は没収。
大事な息子の行方を刑事に聞くが、警察もまだ発見出来ず…
指名手配書に目を通していると、現場で見た男が一人。
犯人について心当たりは無いか?
との刑事の質問に、ヴァンダムは首を横に振るばかり。
復讐を決意して、警察署を後にする。


昔の仕事仲間・酒場を取り仕切っていたマルセイユ・マフィアの親分に相談しに行く。
すると、親分の家に息子&少女が逃げ込んでいた事が判り
親子が涙の再開を果たす。息子に母親の死を告げ、再び号泣のヴァンダム。
マフィアの情報網を使って、嫁を襲撃した犯人を特定する。
復讐に燃えるヴァンダムは友人と2人で
襲撃犯がアジトにしている、売春宿に奇襲をかける。
ものの見事に犯人だけを射殺して、現場から立ち去る。


ここから、いよいよ物語の佳境へ。
嫁が殺されてからと言うもの、売春宿のお姉ちゃんぐらいしか
女性は登場しません…
もう、ここからは男の映画。香港ノワール。ギャング映画。仁義なき戦い
画面に登場するものは

親父・煙草・珈琲・拷問・酒・髭・銃・血・煙

と、渋すぎる展開がテンコ盛り。
オッサンのアップ&男の武器はドリルだぜ!
のシーンは、近年稀に見る逸材。タランティーノも悔しがっているかも。
ここから後は、劇場ORレンタルビデオでお楽しみ下さい。
カーチェイスシーンが、何時始まるのかとワクワクしながら映画の進行を楽しめます。
このマトリックス2方式で、最初に凄いシーンを持ってきて
ラスト一歩手前で、もう一度OPのあのシーンを再開するってのは面白い!
あえて難点をあげるとするならば、ヴァンダムが助ける少女が可愛くない…
中国大陸系の顔は日本人には合わないかも。『少女キム
まぁ今回の見所はヴァンダムの吼えて泣いて撃ちまくる
男達のヴァン歌だからな。野郎どもは、この映画を見逃すな!