生ける傀儡、死せる覇者

「諦」という文字は納得するという意味

今回は、オススメのチャンバラ漫画を2冊。
奇しくも両方とも3巻まで発刊中。
片方は売れに売れているけど、もう一方は人気があるのか判らん。
しかしながら、両方ともゾクゾクする様な読後感がタマラン。
是非、立ち読みあれ。
シグルイ 3 (チャンピオンREDコミックス) VS 源平天照絵巻痣丸 3 (MFコミックス)
 シグルイ     VS   源平天照絵巻 痣丸
どちらとも日本刀を振るっての、大チャンバラ漫画。
が、しかし!どちらの主人公も肉体的には完成された凄腕の剣士なれど
周りの状況に追い込まれて、ドンドン精神が蝕まれていく様が面白い。
敵の肉体を刀で切り裂いていく度に、己の心も徐々にひび割れて行く感じ…
はたして、最終巻に辿り着いた時に主人公が目にする光景は如何に!?
シグルイ・原作南條範夫・漫画山口貴由
こちらの漫画に関しては、熱心に書いているサイトや日記が多いのでサラリと。
シグルイの魅力は、日本刀の美しさ。

木剣であっても太刀をぶつけ合わないのが虎眼流
真剣はたやすく折れるという理由による

映画や漫画において、チャンバラの見所と言えば
鍔迫り合いでの両方が接近して睨み合う。
なのが主流だがシグルイにおいては、そのシーンは初戦のみ。
その後の舟木兄弟との戦いなどは、相手に攻撃すら許さない居合い一閃での勝利。
こういうウソ臭い剣技を可能と思わせる「流れ」という握りが良い味を出してる。
藤木の技を一度見ただけで、自分の物としてしまう伊良子の天賦の才能は
何処まで登りつめてしまうのか?


そして今回の心の一押し作品は、シグルイではなくてコチラ
源平天照絵巻 痣丸・著玉置一平
公式サイト『玉金ミレニアム』特設ページ『あちゃ丸
こちらも原作付きと言えば、原作がある漫画です。
ゲーム世代には『源平討魔伝』でお馴染みの「平景清」です。
原作は「平家物語」。その中で、平景清は「平悪七兵衛景清」(たいらの・あくしちびょうえ・かげきよ)と名乗ります。
ゲームでは「カゲキヨ」と呼ばれてましたが、この漫画では真ん中を取って「アクベエ」と名乗り
壇ノ浦の戦いで沈んだとされる「草薙神剣」を手に「黄泉返り」である
ゾンビ化した源氏の残党を切り捨てつつ、鎌倉まで源頼朝の首をあげる為に立ち上がる。
タイトルに付いている「痣丸」は、消息を絶つ為に自分の顔を焼いて平景清の名を捨て
復讐の鬼となるべく「草薙神剣」に映る自分の顔の痣を見て日に日に源氏への恨みを募らせ
自分の名を「アクベエ」、痣を映す刀の名を「痣丸」とした。
この屈折した精神と力の根源を発揮する相手は、普通の源氏ではなく
アクベエが戦う相手が「黄泉返り」した、死人である事。
死者という設定だからか、敵がバターの様にサックリ斬れて良い感じ。
死人であっても、生前の記憶が残されており、それぞれに葛藤しながら
アクベエに挑んでくるので、いやが応にも盛り上がります。
連載している『月刊コミックフラッパー』が地味な所為か

痣丸が面白い!

との声が、あまりネットで響いてこない…
シグルイで男たちの無惨な生き様を好む人は
痣丸での黄泉返りの意気揚々とした死にっぷりにも感涙して下さい。
過去の日記でも少々取り上げた『ナイスなゾンビ作品』にノミネート決定な漫画です。
望むべくは長期連載になる事を!
平家物語を読んだ事がないので結末は知りませんが、源頼朝の御殿へ攻め上がるまで
きちんと戦いながら進んで欲しい。