判決!37564

十三人の刺客看板

映画の日なので『十三人の刺客』を鑑賞してきました。
先週、明石に立ち寄った際に駅前の映画館での上映がある事を知り
せっかく明石藩主の物語なんだから、どうせ見るなら明石で見ようか!
というマニア心が出たので、久しぶりに明石の劇場で鑑賞してきました
まずは、もう兵庫県下ではお目にかかれないであろう、手描きの看板が劇場前でお出迎えですよ。
せめて明るい内に撮りたかったけど、最近は日が暮れるのが早くて撮影が間に合わなかった…
今でも手描き看板が見れる場所って他にドコへ行けば見れるのでしょうか。
昔は、須磨の駅に映画の看板が飾ってあったけど、不況の影響なのか無くなって寂しくなったなあ
あの映画の看板を見るのが、普通電車から快速電車に乗り換える時の楽しみだったのに。


まず映画館の中に入って驚いたのは、スクリーンが客席のすぐ傍にあるのではなくて
ちょっとした舞台の上にスクリーンの白い布がある作りだという事です。
この劇場が出来た当初は、映画だけじゃなくて舞台や演劇も出来る様なシステムだったのかな。
無声映画時代は、スクリーンの横に弁士がいたという事だからそれにも対応してそう。
また明石の映画館で何かを見に行きたいなあ


さて映画の感想ですが、これは平野秀明センセーが仰っていた通りの斬りまくり映画でしたよw
前半は平穏無事な江戸時代を丁寧に描きつつ、ご乱心者のお殿様が暴れまわるシーンは楽しかったなあ
この松平斉韶は、シグルイの忠長に比べたら稚技に等しいですよw
同じ暴君でも、忠長は免許皆伝の腕前で人をばっさりと開きにしちゃうのはお手の物だからなあ
どうせ描くならシグルイ以上の残酷さを斉韶に表現して貰いたかったな
弓矢で打ち抜くシーンも、忠長ならあえて立たせて的を射る楽しさを表現させていましたからw
忠長もこの時代に生まれていたら家老になれて、切腹を言い渡される事もなかったろうに…
戦闘シーン以外で目を引いたのは、夜間の屋内シーンでロウソクが怪しげに輝いている所です。
昔は、ロウソクの明りのみで生活していたんだから、こんな感じの照明だったんだろうな。
ロウソクを使うという事は、多少なりともススが出るから、ちょっぴり黒く煤けた背景が良かったですよ!
そしてもう一つ、江戸時代の見所といえばお歯黒!
最初、顔を白塗りにして眉を剃りお歯黒をしていた丸顔の女性を見た時は笑ってしまいましたが
長い時間、江戸時代に浸っていると、それが違和感なく見れる様になってきました。
やはり、眉を落として丸顔でちょっとおたふくな感じの女性は、和服と日本髪が似合いますよ!
日本女性の可愛さを極めるのは、やはり江戸時代なのかも。
たすき掛けをして、働く女性の愛おしさが見れるのは、十三人の刺客だけかも知れない。
すっかり脳内が江戸モードに切り替っている時に登場したのが吹石一恵です。
彼女の役割は、登場人物の嫁さんだと思っていたけど、パンフレットを読むと芸妓さんなんだ。
だから顔は白塗りだけど、眉を剃っていなかったのか。
でも、眉を落とした奥方連中を見慣れている者にとっては、眉ありの吹石には違和感を覚えました。
眉を剃ったらさぞかし和服が似合う姿になったろうに…
映画が終わった後に思う事はその1点なので、きっと三池監督は眉なし美人の素晴らしさを説く為に
あえて、眉がきりっと似合う吹石さんをこの役に起用して他の眉なし女優さんを引き立てたんだろうな。
それくらい眉がない方が美しいと思わせる仕上がりになっている映画ですよ。


映画の後半は、ひたすら斬りまくる殺陣シーンのオンパーレドでしたが、非常に飽きの来ない見やすい演出でした。
ただ難点を挙げるなら、十三人の刺客と言っても11人が刀を使い、1人は槍で戦い
もう一人は身軽さを武器にして、石を縄で結んだヌンチャクっぽいので戦っていました。
槍と石の戦いには少し変化があるものの、他の11人はただ刀で斬るだけで誰が戦っても同じに見えてしまう…
刀を使うにしても、もうちょっと色々な戦い方をして欲しかったな。
13人対200人の乱戦になるのだから普通に袈裟斬りするよりも、足や腕を狙って怪我人を増やす戦法を取って欲しかった。
映画を見ていて、足を狙い斬ったのは1カットだけだったからな…
槍使いの古チンも、腹を突き刺すのではなく、足払いをメインにして相手の動きを封じる戦いが見たかった
そういう意味で言うのなら、三池監督の次の時代劇には是非ともシグルイをお願いしたい!
今回の十三人の刺客は、大作映画なので200人を斬り倒すと言っても、ただ血が流れるだけで
モツがはみ出たり、腕や指が宙を舞うという事は無かったからな…
グロ好きな三池監督ならやってくれると思っていたんだけどなあ
ラストの打ち首のシーンも、ちょうど場所が厠だったからホールインワンしてくれると期待していたのにw
そういった心残りは、次回作のシグルイであらゆる規制と理念を振り払って、真の武士道を撮りきって欲しいです!