自由道は燃えているか!?「第16話」

ライラックに変わるEDが好きでした

年の終わり。冬の寒さが、厳しいある日の事。
夕焼けが、あっという間に姿を消し、満天の星空が広がる。
やがて、ちらほらと雪が降り始め
町の往来で、賑やかに行き交った人々は、家路に急ぐ。
シンシンと降りしきる雪。遠くから鳴り響く、楽器の音。
肩を寄り添い歩く、人の影。
そう、今日は記念すべき「あの日」だから。

第16話
大石討入り作戦
今年も、待ちに待った「忠臣蔵」の討入りの日が近づいてきました。
どこの放送局で、忠臣蔵の映像が見れるのでしょうか。
忠臣蔵の主人公と言えば「大石内蔵助」。
結末を知っている人間としては、内蔵助のイメージは、討入りを果たした
偉い人間だと知っていますが、当時の人々は驚いた事に違いありません。
普段の内蔵助は、遊びまわり、だらしない人間として、世間の目を
誤魔化していたそうです。つまり、内蔵助は世間からは
「仇討ちはせずにダラダラ遊んでいる」そう思わせて、着々と討入りの
計画を進めていたからこそ、最後の討入りのシーンが見事に決まったのです。
敵の目をあざむく為に、味方である世間から同情を誘わずに
あきれさせて、誰もが忘れそうな頃に、討入りを果たす。
この「見事なメリハリの付け方」が、日本人の心意気にピッタシと
当てはまり、今なおを語り継がれる物語となったのです。
 こんな、振り返れば全ての事が「最後の瞬間」に結びつく
このカタルシスを、教えてくれた名作ゲームがあります。
そのゲームは、忠臣蔵とは逆のパターンで裏切ってくれます。
大抵のゲームでは、忠臣蔵と同じく「討入り」に向かって、物語は進み
最後のボスを倒した瞬間は、記憶に残っていますが
それまでの出来事を忘れてしまう事が多く、どんな物語を歩みながら
冒険したかは、記憶に残らない事があります。
しかし、今回のゲームは、本当の結末を知っている人間は少ないです。
みんなが愛した、このゲームの覚えている場面は
「冒頭のシーン」だけでしょう。
車が事故を起こし、古びた洋館に迷い込み、車椅子のミイラに会う
その花の名は
弟切草
プレイヤーが知っているのは、冒頭のシーンだけで、結末は知りません。
ココで繰り広げられる物語は、まさにゲームでしか表現できない
画期的なものでした。予想が出来ない「マルチシナリオ」で
誰もが、狂ったようにプレーし続けました。
たとえ、弟切草を全てマスターした気になっても、ある声が聞こえてきます。

チッチッチ!その程度では、貴様の腕は日本じゃあ2番目だ。
じゃ、誰が弟切草を1番の極めたと言うのだ!」
それは、このオレ(原作者・長坂秀佳)さ!」(By怪傑ズバット

そんな、やり取りが全国で繰り広げられたかは、別として
弟切草は、プレーした人の数だけ、物語の結末があるでしょう。
みんなが知っているのは、冒頭のシーンだけ。
ナミとナオミの、意外な真実が、プレーするごとに判明するだけではなく
プレイヤー自身も、物語に組み込まれて、ワケの分からない過去が
暴かれる場合もあり、ビックリします。
これを、偉大な「かっ色の師」伊吹一番の言葉を借りると

敵を欺くには、まず味方からというが自分までも欺くとは!
 あっぱれだ。少年に惜しみない拍手を送ろう」

Byココロの名言集「愛蔵版 炎の転校生 [マーケットプレイス コミックセット]」(著:島本和彦)より


忠臣蔵大石内蔵助の「敵をあざむくには〜」を、さらに一歩突き進んだ
弟切草
心地よい裏切りに満ちた、このゲームは、あらゆる可能性を教えてくれた。
もうすぐ、粉雪の舞う「討入り」の日がやってくる。
ひょっとしたら、吉良邸には、あの黄色い花が、咲き乱れていたのかも。


弟切草」 その花言葉は−復讐


END


以上『日刊ゲームスクウェア』 2001/12/13号より
前回までの『自由道は燃えているか!?』はコチラで読めます。


ただ時期的に忠臣蔵の話を書けば読者が喰い付くだろうと考えた一作。
話の切り替えとか強引だな。でもそんな所が好き。まさにオレ流